リンク

調布市の地域情報ポータルサイト ちょうふどっとこむ

※ご注意※

書籍の画像につきましては、便宜上「アマゾン」のサイトのものを使用しております。

ご希望の書籍がございましたら、図書館をご利用いただくか、調布市内の書店をご利用ください。(市内書店の検索は「ちょうふどっとこむ」からどうぞ)

ボノボ-地球上で,一番ヒトに近いサル-  2009年06月25日


江口絵理著

そうえん社 2008年 1260円

 みなさんはボノボを知っていますか?ボノボは,地球上で一番ヒトに近いサルと言われている第四の類人猿です。

 ゴリラやオランウータンがヒトにとって親戚だとすると,チンパンジーやボノボは家族といえるくらいヒトに近い存在なのです。

 ボノボは非常に高い知能を持ち,平和をこのむ社会で暮らしています。ボノボはめったにあらそいをおこしません。なぜなら,動物界では唯一無二のケンカ回避術を持つからです。  

 あらそいのおこる場面の多くで,攻撃という手段ではなく,性行動でその状況をおさめます。食べ物をめぐるあらそい,魅力的なメスをめぐるあらそい,敵かもしれない見知らぬ相手に出くわしたとき,日常的にケンカになりそうなときに,ボノボは手近な相手をみつけて性行動をはじめ興奮や緊張をやわらげます。

 この本にはこのようなボノボの不思議な生態や,目を疑うほどの知能の高さ,危機に直面しているアフリカの現状,動物保護の難しさなど多岐にわたる内容が詰まっています。
著者は,「ある動物の目から世界を見たら,まったく新しい価値観が見えてきます。」と言っています。

 人間のうつし鏡ともいわれるボノボを知り,ボノボの視点から世界を見てみませんか。


児童書おすすめの一冊。小学校高学年以上。

紹介:調布市立図書館 児童担当

■ 『ボノボ-地球上で,一番ヒトに近いサル-』を図書館で探す ■

群青の湖 (ぐんじょうのうみ)  2009年06月10日


芝木好子 作

講談社 1993  621円


 主人公の端子は、東京・四谷で生まれ、大学の研究室で染色を学んでいたが、恋人で近江出身の青年と結ばれ身籠る。琵琶湖畔の旧家に嫁ぎ、入籍もされないまゝ、女児、桜子を産む。義父母に盡くし旧家での報われない暮らしのなかで、若くして病死する義兄が、看護する端子の美の感性を見抜き、湖北の奥深い湖面の群青の美と神秘さを暗示する。旧家の中で、余所者として扱われ、戸惑うばかりであるが、美を求める火種は消えることはない。

 やがて夫に裏切られ、自殺の場所を求めて湖北に行くが未遂に終わる。東京に戻り、旧家に対する愛憎をかなたに、湖北の紺碧から濃紺に深まる様子や、湖の縁辺を飾る夕暮の神秘性を求めて、染色と織物に賭ける道を選ぶ。

 芝木好子は社会が移り変わりゆく中、すたれ、孤立してゆく江戸の伝統文化、芸能、工芸などの世界を、女性の行き方を軸に小説の中で展開してきた。六十八歳のとき、染色工芸家の個展で「湖北残雪」という題の着物に出会い、その着物が語りかける奥琵琶湖の冬景色の澄んだ青に心を奪われる。

 著者は、その深さを求めて染色と織物の伝統が今も息づく近江、巧木、大原を訪ね、現物の「織物」を核としながらこの物語を生んだ。

 精神的に自立し、さまざまな運命と出会い、自分を磨いて生きる女性を書き続けた著者が、晩年に精魂籠めて書き上げた熱い思いが伝わってくる。

                                   柏読書会 今村富子
読書会おすすめの一冊。

紹介:アカデミー愛とぴあ

■ 「群青の湖 (ぐんじょうのうみ)」を図書館で探す ■

リンゴの丘のベッツィー  2009年05月27日


ドロシー・キャンフィールド・フィッシャー作 多賀京子訳 佐竹美保絵

徳間書店 2008年 1680円

 赤ちゃんの時に両親を亡くしたベッツィーは,父方の大おばさんに引き取られ,大おばさんと大おばさんの娘のフランシスおばさんに大切に大切に育てられてきました。フランシスおばさんは,ベッツィーの困っていることを何でも知っていて,悩みを聞いてくれるのでした。

 ところが,ベッツィーが9歳になったある日のこと,思いもよらないことが起こったのです。大おばさんが重い病気にかかり,ベッツィーの世話ができなくなってしまったのです。

 ベッツィーは,アメリカバーモンド州の田舎に住む母方の親戚に引き取られることになりました。そこには母方の大おばさんと大おじさんと2人の娘であるアンおばさんがいて,犬や猫もいました。

 ベッツィーは,自然豊かな農場で厳しくも温かい家族の中で暮らすうちに,「もしアンおばさんだったら,どうするだろう。」と自分で考え行動し,苦境を乗り切り自立した少女へと成長していきます。

 1917年に出版されて以来,世代を超えて読み継がれてきたアメリカ児童文学の名作です。
 日本では1950年に「ベッチィ物語」(中野好夫・中村妙子訳 評論社 調布市立図書館では所蔵していません。)として翻訳されましたが,長い間絶版となっていました。

 本書は1950年版と訳の雰囲気は違いますが,一人の少女が今までとは違った環境の中で成長し,自分らしさを取り戻していく様子が伝わってきます。
 また,子どもへの真の愛情とは何かを教えてくれます。昔子どもだった大人にもおすすめの1冊です。

児童書おすすめの一冊。小学校低学年以上。

紹介:調布市立図書館 児童担当

■ 『リンゴの丘のベッツィー』を図書館で探す ■

津軽  2009年05月10日


太宰治 作

岩波書店 2004年  525円


 できるだけ読書会では、まだ取り上げたことのない作者を読んでいきたいものです。でも現実には、是非もう一度、という本や作者があって、この作品はそんな一つでした。

 旅行記という形で津軽の地勢や風物や歴史が懇切丁寧に描かれながら観光案内的な感じが少しもしないのは、旧知の人々との交歓や懐かしい場所を再訪するなか作者独特の自虐的なほど正直な語り口をとおして、その生い立ちなりその後の人生なりが生々しく浮かび上がってくるから?というのが初めて読んだときの印象でした。

 そして内容がかなりの部分フィクションらしいとわかってきた二回めのときには、なるほど、とむしろ納得したのです。

 小説として読めば、乳母であり育ての親でもあった「たけ」と再会する場面は、いわば物語のクライマックス!

 フィクションとわかっていてもやはり感動します。随所にちりばめられたユーモアにくすくす笑いましたし、気がついたら以前よりもっと作者に感情移入していたのです。

 何度読んでも、読むたびに何か新しい発見があるような、そんな作品を持つことができた幸せをしみじみ……。

                                   名作読書会 海本みどり
読書会おすすめの一冊。

紹介:アカデミー愛とぴあ

■ 「津軽」を図書館で探す ■

ビーバー族のしるし  2009年04月25日


エリザベス・ジョージ・スピア著 こだまともこ訳

あすなろ書房 2009年 1500円

 1768年の春、アメリカ・メイン州の新しい居住区に、12歳の少年マットと父さんが越してきました。ここに最初に住む白人として、二人は土地を切り開き、丸太小屋を建て、トウモロコシを植えます。

 夏、丸太小屋が完成すると、父さんは母さんと妹のセアラ、そして生まれたばかりの赤ん坊を迎えに行き、マットはたった一人で自給自足の留守番をすることになります。

 けっこう楽しい日々を過ごしていたマットですが、通りすがりの男に大事なライフル銃を盗まれたり、クマに食料を荒らされたりと災難が続き、ハチミツをとろうとしてミツバチの大群に襲われたところを、先住民ビーバー族の老人とその孫エイティアンに救われます。気が進まないながらもエイティアンとの交流が始まり、やがて友情が芽生えていきます。

 予定の7週間を過ぎても戻らない家族を待ち続けながら、開拓の森の中、一人で生き抜こうとする少年の成長が描かれています。マットとエイティアンの種族を超えた友情がさわやかな作品です。


児童書おすすめの一冊。小学校高学年以上。

紹介:調布市立図書館 児童担当

■ 『ビーバー族のしるし』を図書館で探す ■

すばらしい新世界  2009年04月10日


池澤夏樹 作

中央公論新社 2003年 1300円


 主人公、甘野林太郎は技術系会社の中堅サラリーマンであるが、環境問題に取り組んでいる妻、アユミのNGOからの話を受け、思いもよらない旅立ちをすることになる。

 彼本来の電力製造機や発動機とは異なり、ごく小さな風力発電機をネパールの奥地の村に設置する仕事である。ヒマラヤからチベットへの強い風を利用して、数多くの小型風車により発電する、ということは、高い山々を命がけで馬で越えるという危険性を伴う。空気の薄い高地で、現地の人々と協力し厳しい条件のなかで、共に生活し奮闘する。

 その地で見たこと、感じたことを、妻や長男(小五)と、文明の利器でeメールを交し合う形で物語は展開する。

 秘境の地で生きる人々の環境や生活習慣、宗教に裏打ちされたおだやかな人生感に圧倒される。先進国という日本に暮らす自らをも含めて考えることになる。科学や技術、教育、利益優先型の社会、ODAの在り方、より安楽にぜいたくにと欲望をつのらせる人々──。

 この三人のメールには夫婦や親子間の思いやりと、問題点を共有し合い、お互いを大切にするあたたかさが満ちている。

 平易な文体で民族や国境を越えるべき何かを構築する知恵の必要性、先ず小さな単位(個人や家族)毎に自然と向き合い、共に生きる大切さ。その先こそ未来もあるのでは?とのメッセージを私は感じた。

                           緑ヶ丘読書会   藤嶋郁子

読書会おすすめの一冊。

紹介:アカデミー愛とぴあ

■ 「すばらしい新世界」を図書館で探す ■

シュトッフェルの飛行船  2009年03月25日


エーリカ・マン作 若松宣子訳

岩波書店 2008年 640円

 この本は1929年にノーベル文学賞を受賞した文豪トーマス・マンの娘であるエーリカ・マンによって書かれました。

 主人公は10歳の少年クリストフ・バーデルで,あだ名はシュトッフェルといいます。シュトッフェルは家族を助けるため,学校が終わると貸しボート屋でボートこぎとして働いていました。ある時,シュトッフェルは両親が生活の苦しさを嘆いている会話を聞いてしまいます。

 そこで,シュトッフェルは,アメリカで成功しているおじさんのところに行き,今の家の大変な状況をはなして助けてもらおうと考えます。

 両親には10日間だけ旅にでるとはなして,たった一人ドイツからアメリカへ出発します。シュトッフェルが立てたアメリカまでのルートは,飛行船に密航しようというものでした。

 郵便袋の中に忍び込み,飛行船への乗船に成功して,これでアメリカまでたどり着けると思った矢先,飛行船に大変な事態がおこります。

 スピーディーな展開で次々に事件がおこる作品と異なり,話の展開はゆったりしていますが,初めから終わりまで安定した面白さがありとても楽しい作品です。

児童書おすすめの一冊。小学校高学年以上。

紹介:調布市立図書館 児童担当

■ 『シュトッフェルの飛行船』を図書館で探す ■