三千と一羽がうたう卵の歌
投稿日:2014年8月14日『三千と一羽がうたう卵の歌』
ジョイ・カウリー著 デヴィッド・エリオット絵 杉田七重訳 さ・え・ら書房
2014年1月 1400円
養鶏場を営むミラー夫妻の一人息子ジョシュは,老いたメンドリを飼っていました。そのメンドリはセモリナという名前で,実は人間の言葉を話すことができるのですが,誰もそれを信じてはくれません。それというのも,セモリナはジョシュ以外の人の前では絶対にしゃべったりしないからです。
このミラー一家は,今二つの問題を抱えていました。一つ目は,ジョシュのお母さんが無事に赤ちゃんを産むことができるか,二つ目は,最近ニワトリから産まれた卵の数が減っているということでした。
卵がキツネに取られているのではないかと考えたジョシュは,セモリナを通じ,ニワトリたちからキツネの手口を聞き出します。しかし,そのことでキツネに恨まれたセモリナは,ある日,キツネにつかまり,お気に入りのリングを残して行方不明になってしまいますが……。
お互いを心から信頼し合う一人と一羽との絆が,温かな筆致で描き出され,命の尊さを感じることができる物語です。豊富な挿絵も味わい深く魅力的です。