フランスの12の怖い昔話

児童書(こども)

投稿日:2013年10月15日


『フランスの12の怖い昔話』
大澤千加作 長崎出版 2012年11月
1300円

継母に疎まれていた娘は,ある日家を追い出され,幽霊城と噂される城に泊まることになります。娘は一切れだけ持たされていたパンを,途中からついてきた犬と分け合って食べました。真夜中,娘が城のベッドで寝ていると,騒々しい音がして,廊下を走り回る足音が娘の部屋へ近づき,ドアが激しく叩かれました。その時,犬がいきなり口を開き,「何がほしいのかきくんだ」と言いました。娘がその通りに叫ぶと,何者かがしわがれ声で,「中へ入れてくれ!」とわめき立てました。犬の助言に従って行動したところ,娘は無事城から脱出し,おまけにドレスや沢山のアクセサリーを手に入れました。それを見た継母の実の娘は激しく嫉妬し,自らも幽霊城に向かいました。途中で犬がついてきますが,この娘は犬を顧みず,持たされてきたケーキも一人でたいらげてしまいました。真夜中になり,けたたましい音で娘は目を覚ましました。娘が震えていると,犬が「何がほしいのかきくんだ」と言いました。娘がその通りに叫ぶと,「中へ入れてくれ」と何者かは答えました。犬は娘に「入ってといって」と助言します。「どうぞ,入って!」娘が大声で叫ぶと,声の主たちがどっと部屋へなだれ込み,娘に襲いかかりました。娘はあっという間に闇に飲み込まれ,連れ去られてしまいました。悲しみに暮れた継母は娘を探しにいくと城へ出かけたきり,二度と家へ帰ることはありませんでした。(幽霊城)
フランスのブルターニュ地方に語り継がれてきた民話が主に再話されています。外国の昔話ながら,私たちの身の回りでも覚えのあるような,欲深い者や傲慢な者が登場して恐ろしい目に遭い,あるいは利口な者が苦境を切り抜けます。この作品に収められている幻想的で不思議な12の昔話は,子どもたちは勿論のこと大人も楽しむことができます。
児童書 おすすめの1冊 高学年向き

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