はしれ、上へ!-つなみてんでんこ-
投稿日:2013年5月8日『はしれ、上へ!-つなみてんでんこ-』
指田和文 伊藤秀男絵 ポプラ社 2013年
1300円
東北地方の海沿いは、昔から大きい地震が来て津波の被害を受けてきました。ぼくは、じいちゃんから「じしんがきたら、つなみがくる。」それぞれが逃げて自分で自分の命を守るように言われてきました。2011年3月11日東日本大震災。ぼくたちはまず机の下に隠れ、ジャンパーを着て帽子をかぶり、サイレンの鳴る中、坂道を駆け上がり、上へ上へと走り続けました。高台に着きもう大丈夫かと思った時、後ろからゴーッという音がして、振り返ったぼくの目に飛び込んできたのは、真っ黒な水が盛り上がって津波に飲み込まれていく建物でした。その夜ぼくたちは、避難所で夜を明かし、家族と会えたのは2日後のことでした。
終始主人公の気持ちに寄り添い、主人公が新たな一歩を踏み出すまでが、迫力ある絵と共に描かれています。津波がきたら、どうすればよいかを「つなみてんでんこ」という言葉で、親から子へ子から孫へと伝えてきた人々の知恵を思わずにはいられません。
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