哲夫の春休み

児童書(こども)

投稿日:2011年4月25日

斎藤惇夫作 岩波書店
2010年 2500円

中学入学を控えた4月2日、哲夫は祖母に見送られ浦和の家を出て駅に向かいました。これから、父の故郷、新潟県長岡へ向けての初めての一人旅が始まるのです。長岡へは、父のすすめで新幹線に乗らずに特急や各駅停車の電車を乗り継いで行きます。
「どうして?新幹線があるのに?」と思っていた哲夫でしたが、上越線の車窓から見える風景に目を奪われたり、また、車内の風景が急に一変するという不思議な体験をするうちに少しずつ気持ちが変わっていきます。そうして、長岡に着いた哲夫を待っていたのは、父や祖母が昔住んでいた大きな古い屋敷でした。今は取り壊されてしまったはずなのに・・・。古い屋敷に足を踏み入れた哲夫は、小さい頃の父とおしゃべりをし、哲夫が生まれる前に亡くなった曽祖母に昔話を語ってもらい、誰にも話せなかった悩みを打ち明け、新たな一歩を踏み出すことができたのでした。
子どもの頃の両親に出会い、一緒に遊ぶことができたらどんなに楽しいことでしょう。また、出会ったことのない曽祖父や曽祖母と話ができたら素敵です。この本はそんな願いをかなえてくれます。春の一日、哲夫と一緒に過去への旅を楽しんでみませんか。
児童書 おすすめの1冊 小学校高学年から
紹介:調布市立図書館 児童担当

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