友情
投稿日:2010年11月10日脚本家野島と新進作家の大宮は厚い友情で結ばれている。大宮のいとこの友人の杉子のことを野島は熱愛するが、杉子は大宮を慕っている。大宮は杉子の愛を避ける為にパリに行く。そのパリへ杉子は手紙を書く。大宮との往復書簡を公にすることで野島は仕事上で決闘をしようと言う。
本を読む前に映画をみた。大宮=荻島真一、杉子=岡江久美子、野島=寺尾聰。杉子の凛とした美しさが心に残っている。杉子は現代では当たり前の女性だが、当時としては自分の意見をしっかり持っている新しい感覚をもった女性だ。野島はプライドの高い青年。大宮は野島の気持ちを大切にはするが、本質的には自己を忠実に受け入れている。「自分は運命の与えてくれたものを選ぶが、友は得られないものを強く求めた為に若い杯を飲むことを運命から強いられた。」恋愛によって強く生きる力のあるように、失恋によってより強くなるものがある。
人間は正直に生きなければならない。文学の中には、心を伝えるものが沢山ある。自分で気づかないところを教えて貰ったりする。青春時代に重ね合わせて読み、こころが潤う思いでした。
宮の下読書会 小原厚子
読書会おすすめの一冊。
紹介:アカデミー愛とぴあ