ペーパーボーイ
投稿日:2017年6月23日ヴィンス・ヴォーター作 原田勝訳
岩波書店 2016年7月 1700円
1959年アメリカ。吃音に悩むぼくは,夏休みの間,友達の代わりに新聞配達をすることになりました。配達先では個性的な人々と出会い,さまざまな思いを抱きながら夏を過ごします。中でも,スピロさんとの出会いはぼくに大きな変化をもたらし,ぼくはスピロさんから,広く世界を知ることの楽しさを教わるようになります。
ある日,ぼくはスピロさんから,配達の特別報酬として「student(学ぶ者)」と書かれた1ドル札の4分の1切れを貰いました。一週間ごとに,4分の1切れずつ,それぞれ別の言葉が記された紙幣を貰うことになるのですが,それら4つの言葉は,「魂の四分割の意味を理解する」ためにスピロさんがぼくに与えたもので,ぼくはその言葉に込められた意味を考えるようになります。
この物語は,周囲の人々との交流や,思いがけない事件を通して,生きるために大切なことを学ぶぼくのひと夏の成長と,ぼくを見守る大人たちの優しさが丁寧に描かれています。
スピロさんがぼくに伝えた4つの言葉は,人が満ち足りた人生を送るのに欠かせない要素であり,読者もその言葉の意味を探し求めるでしょう。