スモーキー山脈からの手紙
投稿日:2017年5月16日バーバラ・オコーナー 作 こだまともこ訳
評論社 2015年6月 1500円
グレート・スモーキー山脈のふもとにある古ぼけたホテルを舞台にした,ひと夏の物語です。
ホテルの持ち主はアギーおばあさん。宿泊客は減る一方で赤字続き,頼りにしていた夫も亡くなり,ホテルを売る決心をして新聞広告を出しました。
そこへ,三組の家族がやってきます。
最初にやってきたのは,ウィロウと父さん。離婚して家を出て行った母さんを忘れられないウィロウに,父さんはホテルを買い取って新しい暮らしを始めるのだと言いました。
次にやってきたのは,ロレッタと養父母のパパとママ。ロレッタの産みの母が亡くなり,形見として送られてきたブレスレットにスモーキー山脈のチャームがついていたので,一家でゆかりの場所を訪ねてきたのでした。
最後に来たのは,カービーと母ちゃん。家でも学校でも問題を起こしてばかりのカービーは,母ちゃんに連れられて,スモーキーマウンテン少年学院に行く途中でしたが,山道で車が故障したために,しかたなくホテルに泊まることになったのです。
喪失感を抱えたアギーおばあさんと,心の中で何かを探し求めている三人の子どもたちは,助けたり助けられたりするうちに,ひとつの家族のようになっていきます。ひとりひとりがホテルの新規開業に役割を果たすことで,自分の居場所を見つける展開に引き込まれます。