白をつなぐ
投稿日:2016年5月22日まはら三桃 著
小学館 2015年10月 1400円
都道府県対抗男子駅伝大会を舞台に、福岡チームの七人のメンバーを描いた物語です。
大会は一月中旬に広島で開催され、選考会で選ばれた中高生と、指導者の推薦による大学生と社会人の正選手が県代表のチームを作り、競い合います。
一区は高校生の沢田瞬太。瞬太の母は全盲で、周囲の人から「お母さんを悲しませるな」と言われるのをうっとうしく思っていました。そんな瞬太が駅伝の中継車を目にしたん、自分の名前が連呼されて母の耳に届くようラストスパートをかけ、トップで二区の中学生にたすきを渡します。
二区から七区まで、世代の違う選手がそれぞれの思いを抱きつつ走り、体の不調や中継地点での連携ミスなど思わぬアクシデントに見舞われながら、たすきをつないでいく姿が描かれています。
たすきをかけて走っている間は、その選手が注目の的。渡したとたんに、別の選手が主人公になる。その潔さがまさに駅伝を観ているような感覚の作品です。