ぼくたちに翼があったころ-コルチャック先生と107人の子どもたち-
投稿日:2016年4月14日タミ・シェム=トヴ作 樋口範子訳 岡本よしろう画
福音館書店 2015年 1700円
第二次世界大戦へとすすんでいく時代のおはなしです。孤児の少年ヤネクは走ることが大好きでしたが、新聞や食べ物を盗んだことがばれて、孤児院の指導員たちに足を折られてしまいます。そのせいでヤネクは足を引きずりながら歩くようになってしまいます。ただ一人の家族のミラ姉さんは、評判がよいコルチャック先生の「孤児たちの家」へヤネクを送ることにします。
コルチャック先生は小児科医で作家、ラジオ番組で子どもたちの相談にものって、子どもたちから慕われています。「孤児たちの家」はコルチャック先生が運営する、孤児たちが暮らす施設です。「家」では訴えに対して子どもが裁判員になって判決を下したり、子どもが新聞を発行したりと、子どもたちが運営を任されていました。
コルチャック先生の支えや友だちの助けもあり、ヤネクは盗みをしないと誓い、やがて新聞記者になる夢をもちます。しかし、戦争が始まりそうになり、ついにヤネクは亡命するか決めなくてはいけなくなります。
実在したコルチャック先生の「孤児たちの家」を舞台に、自分の夢に向かって努力するヤネクの姿、孤児院で暮らす個性豊かな子どもたちの姿がいきいきと描かれた作品です。