『大きなたまご』

児童書(こども)

投稿日:2015年11月20日

『大きなたまご』
オリバー・バターワース作 松岡享子訳
岩波書店 2015年8月 720円

アメリカのフリーダムという町に住む,12歳の男の子ネイトのわくわくどきどきがとまらない冒険の物語です。
6月のある日,ネイトの家で飼っているめんどりが見たこともないような大きなたまごを産みました。めんどりとネイトが必死にたまごの世話をして,やっと6週間後に生まれたのはトカゲに似た不思議な生き物でした。
その生き物を古生物学者のチーマー先生に見せると,なんと,恐竜トリケラトプスの赤ちゃんに間違いないと言うのです。恐竜は大きくなると6メートル以上になり,体重は10トンにもなるとのこと。
ネイトは恐竜にアンクル・ビーズレーという名前を付けてきちんと世話をしましたが,ものすごいスピードで成長し大量のエサが必要となったため,ワシントンの国立博物館に引きとってもらうことになります。ネイトも一緒に行き世話をしますが,そこにもいられなくなり,ついに国立動物園の「象の家」に入ることになりました。
動物園に入ってすぐに国会議員が「恐竜は税金がかかりすぎる。」と言い出し恐竜ははく製にされそうになります。さて,アンクルを救うためにネイトが勇気をふりしぼって行動したことは……。痛快な結末はスカッとすること請け合いです。
この作品は50年以上前にアメリカで発表され,1968年に日本で翻訳されたあとは刊行がとだえていましたが,2015年に岩波少年文庫の1冊に加わり,楽しいさし絵で大変読みやすくなりました。

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