走れ、走って逃げろ

中学生・高校生向

投稿日:2015年8月10日

『走れ、走って逃げろ』
ウーリー・オルレブ作 母袋夏生訳
岩波書店 2015年6月 720円

物語の舞台は、第二次世界大戦下のポーランドです。8歳のユダヤ人の少年スルリックは、家族とともに、ユダヤ人の強制居住区域であるゲットーで暮らしていました。
スルリック一家は、ゲットーからの脱出を計画しますが、スルリックとお母さんはドイツ兵に捕まり、ゲットーに連れ戻されてしまいます。ところが、スルリックが食べ物を探している間にお母さんが行方不明に…。
一人になったスルリックは、ドイツ兵に追われる危険にさらされながら、生き延びる方法を身につけていきます。農村と森を放浪する過酷な状況下で、スルリックは自分の名前を捨て、ポーランド人の「ユレク・スタニャク」として生きる決意をします。たった一人で、終戦までの3年間を生き抜いた少年の物語です。
実話をもとにした物語で、この作品を原作とした映画「ふたつの名前を持つ少年」が、この夏に公開予定です。
誰もが生きることに必死な状況下、右腕と記憶をも失った少年ユレクに、手を差し伸べる大人たち。戦争の悲惨さと人間の優しさを感じることができる作品です。

『走れ、走って逃げろ』を図書館で探す