わたしの心のなか

中学生・高校生向

投稿日:2015年7月10日

『わたしの心のなか』
シャロン・M・ドレイパー作 横山和江訳
すずき出版 2014年9月 1600円

十歳のメロディは脳性麻痺のため、歩くことも自分で食べることもできません。二歳のころから言葉を理解してきたのに、声を出せないため、たったひとつの言葉すら話したことがありません。心の中の想いを伝えるすべを持たないため、特別支援学級で発達が遅れた子どもとして扱われてきました。
そんなメロディが五年生になった年、すばらしいことが起きます。「メディ・トーカー」という特別仕様のコンピューターが与えられ、ボタン一つで文章を作成し、音声で自分の考えを伝えることができるようになったのです。メロディは普通学級との交流授業で、頭の回転の速さと人並み外れた記憶力を評価されて、クイズ大会の学校代表メンバーに選ばれました。地方大会で大活躍し、新聞の第一面で「身体的困難があるにもかかわらず、すばらしく高い知能を発揮して、チームを勝利へ導いた」と称賛されました。ところが、その報道が級友の妬みをかってしまい、物語は思いがけない方向へ展開します。
率直で負けん気の強いメロディの気持ちが手に取るようにわかり、言葉で伝えたいという切実な願いに心揺さぶられる1冊です。

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