カントリー・ロード
投稿日:2014年6月16日『カントリー・ロード』
阪口正博作 BL出版 2013年2月
1400円
中学2年生の主人公佐藤浩(ひろ)紀(き)は,父親の転勤で山あいの小さな田舎町に引っ越してきました。過疎の町の中学校は全校生徒が23人しかおらず,同級生はたったの7人だけ。おまけにクラブ活動は男子が野球,女子はバレーボールと決められています。浩紀の転校で野球部は10人になり,誰が補欠に回るのかで野球部の中で確執が生まれます。けれども,夏休みのクラスメイトとの登山や,クリスマスパーティーなどを通して,お互いの気持ちが少しずつ通じあうようになります。そんな中,再び別れの日がやってきます。
夏の登山の時,激しい雷雨を避けるために,ずぶ濡れのまま飛び込んだ廃屋が気になり,町を離れる時に,この廃屋を掃除をするために集まった主人公とクラスメイトの姿がいつまでも心に残ります。等身大の登場人物が魅力的で,故郷とは,友情とは何かを問いかけながら,揺れ動く少年たちの心の葛藤を瑞々しく描いた作品です。
第14回ちゅうでん児童文学賞大賞受賞作品。