ゾウと旅した戦争の冬

児童書(こども)

投稿日:2014年4月15日

『ゾウと旅した戦争の冬』
マイケル・モーパーゴ作 杉田七重訳 徳間書店 2013年12月
1500円

男の子のカールは,母親が働く介護施設でリジーという老婦人と仲良くなります。彼女はカールを見て弟のことを思い出し,カールとその母親に自宅にゾウがいたときのことを話し始めます。
それはリジーが子どものころの話で,第二次世界大戦中のことでした。当時,リジー一家は,ドイツ東部の町ドレスデンに住んでいました。戦争が始まると,リジーの父親は戦場に送られることが多くなり,リジーの母ムティは動物園で働き始めます。そして,その動物園では,空襲が来たら動物を殺してしまうということを知らされます。
そこで園長に無理を言って,子ゾウのマレーネを家に連れ帰り,マレーネとの生活が始まります。ところがある日,恐れていた空襲に遭い,一家は子ゾウのマレーネを連れて,戦火を逃れる旅に出ます。

子ゾウのマレーネの存在がうまく生かされ,戦争の中でも強く生きる人たちの様子が細かく丁寧に描かれています。登場人物に共感しながら読み進めることができ,心に残る作品です。

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