おいでフレック、ぼくのところに

児童書(こども)

投稿日:2014年3月11日

『おいでフレック、ぼくのところに』
エヴァ・イボットソン著 三辺律子訳 偕成社 2013年9月
1600円

主人公のハルは,ずっと犬を飼いたいと夢見ている男の子です。しかし,ハルがいくら「犬がほしい」と言っても,お金持ちの両親は許してくれません。それでもハルが諦めずに頼み続けていると,ついにお父さんが犬を選びに「おてがるペット社」へ連れて行ってくれます。そこで出会ったハルと雑種犬のフレックは,お互いに一目でひかれあい,ハルはフレックを家に連れていくことを決めます。元気いっぱいであらゆるものに興味を持つフレックは,ハルに新たな発見をたくさん与えてくれます。
二日間,ハルとフレックは共にすばらしい時間を過ごしますが,ハルが歯医者へ行っている間に,お母さんが内緒でフレックを店に戻してしまいます。フレックは,ペットの貸出しを行っている「おてがるペット社」から二日間だけレンタルした犬だったのです。両親にだまされたことを知ったハルは家を出て,店からフレックを連れ出し,遠く離れた祖父母の家へ行くことを決意します。
一方,「おてがるペット社」で店の手伝いをしていたピッパという女の子は,ケージに閉じ込められて毎日じっとしている犬たちのことを,心苦しく思っていました。そんな時,フレックを取り戻そうと店に侵入してきたハルとはちあわせします。フレックを連れていくハルを見て,ピッパは思わず他の犬たちのケージを開け放ちます。行き場の無い四匹の犬はハルに付いてきてしまい,困ったハルはピッパに助けを求めます。こうして,二人と五匹の犬たちは一緒にハルの祖父母の家を目指すことになるのですが…。
追手から逃げながら,犬と一緒に困難を乗り越えていく展開は読者を飽きさせません。賢くて優しいセントバーナード犬のオットー,気性の荒いペキニーズ犬のリー・チー,曲芸が得意なプードル犬のフランシーヌ,牧羊犬として働いていたコリー犬のハニーなど,登場する犬たちも個性豊かに描かれています。
児童書おすすめの一冊。高学年向き。

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