テラプト先生がいるから

中学生・高校生向

投稿日:2013年12月16日

『テラプト先生がいるから』
ロブ・ブイエー作 西田佳子訳 静山社 2013年7月
1600円

9月になり、コネティカット州スノウヒル小学校は新学期を迎えます。いたずら好きのピーター、転校生で本が好きなジェシカ、優等生のルーク、女ボス的存在のアレクシア、学校嫌いで無口なジェフリー、ちょっと太めなのを気にしている真面目なダニエル、目立つのが嫌いなおとなしいアンナの7人の子どもたちは5年生になり、新米のテラプト先生と出会います。それぞれ家庭の問題や友達関係に悩みを抱えていた子どもたちですが、テラプト先生のユニークな授業―1ドル言葉(アルファベットのAは1セント、Bは2セント…というふうに一つ一つの文字に値段をつけ、一つの単語に使われる文字の値段を足した時にちょうど1ドルになる言葉)探しや、校庭の草の本数数え、特別支援学級の子どもたちとの交流など―で、少しずつクラスの雰囲気が変わっていきます。ところが、1月のある日、ピーターのちょっとしたいたずらがきっかけで、テラプト先生が大けがをしてしまい……。
7人の子どもたちが順番に入れ替わって一人称で語る物語です。読み進めていくうちにそれぞれの個性が浮かび上がってくるとともに、テラプト先生や周囲の大人たちの状況も次第に解き明かされていきます。
意地悪をしたせいで孤立してしまったアレクシアが皆と仲良くなれるのか、兄を喪い心に傷を負ったジェフリーが両親とうまく接することができるようになるのか、大人の事情で友達づきあいに戸惑うダニエルとアンナなど、各々の問題に子どもたち自身が向き合う姿が描かれており、爽やかな読後感を残します。

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