スカーレット-わるいのはいつもわたし?-

中学生・高校生向

投稿日:2012年9月4日


『スカーレット-わるいのはいつもわたし?-』
キャシー・キャシディー作 大高郁子絵
もりうちすみこ訳 2011年 偕成社 1400円

猛暑続きだった今年の夏も終わりました。過ぎ去った今年の夏を思い出しながら,この本の主人公のスカーレットと一緒に素晴らしい夏の時間を過ごしてみませんか。
12歳のスカーレットは髪の毛をケチャップ色に染め,8センチの高さのサンダルをはき,ロンドンで母と二人で暮らしています。広告会社の管理職の母はいつも仕事が忙しく,スカーレットに目を向けてくれません。スカーレットは,行く先々の学校で問題を起こしてきました。母に振り向いてほしいスカーレットはとても痛い思いをして舌にピアスをしました。今いる寄宿学校からも追い出されることになり,「万策尽きたわ。」と母は,こともあろうにアイルランドに住む父のもとにスカーレットを送り出します。自分たちを置いて出て行った父をスカーレットはずっと憎んでいました。アイルランドの家には父の再婚相手とその人の娘がいて(スカーレットの新しい母と妹),おまけに新しい母のお腹には赤ちゃんがいました。スカーレットは,新しい学校に行った日に,かんしゃくを起こし学校を飛び出してしまいます。
そんなスカーレットを家まで送り届けてくれたのは,美しい馬に乗ったキーアンというふしぎな少年でした。学校に行かないスカーレットを新しい母クレアは優しく見守り,妹のホリーはどこまでもスカーレットに気持ちを寄せてくれます。スカーレットのことを大切に思ってくれる新しい家族やキーアン少年との出会いを通して,スカーレットは薄紙を剥がすように,心が癒されていきます。スカーレットの働きで赤ちゃんが無事に誕生し,スカーレットたちを助けるために母がロンドンから駆けつけてくれる場面は,感動的です。そうして,スカーレットがみんなに愛されていると確信し,思慮深い少女へと成長していく結末に,読者はほっと胸をなでおろすことができます。
登場人物が魅力的なのは勿論ですが,スカーレットの気持ちをやわらげてくれるアイルランドの自然の美しさも見逃せません。読後,家族とは,子どもの成長とは何かについての思いが静かに心の中に広がっていき,とても幸せな気持ちになります。
児童書 おすすめの1冊 中学生向き

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