ピーターサンドさんのねこ
投稿日:2012年5月9日ルイス・スロボドキン作 清水眞砂子訳 あすなろ書房 1300円
2012年
毎年、夏が来るとホタル島の別荘に町の人が大勢やってきます。みんな楽しいバカンスを過ごすためには「ねこがいなくては」とピーターサンドさんからねこを貸してもらっていました。夏が終わると、別荘の住人たちは町へ帰り、ねこたちはピーターサンドさんの元に戻っていきました。
ところがあるとき、ピーターサンドさんは大怪我をし、島を出て入院することになりました。別荘の住人たちも、ねこの世話を頼まれた人も、ろくにねこの面倒をみませんでした。1年以上が過ぎて島に帰ったピーターサンドさんが見たものは,母ねこと子ねこなどわずか9匹のやせたねこだけでした。それからというもの,どんなにねこを借りたいといってもピーターサンドさんはだれにもねこを貸しませんでした。
そんなピーターサンドさんの心を動かしたのは,別荘に住む子どもたちでした。ピーターサンドさんは,つぎに島に来るまで子どもたちみんなに,ねこを貸してあげることにしました。ただし冬の間,町でもきちんと責任を持ってねこの世話をし,翌年の夏に預かったねこを必ずピーターサンドさんに連れて帰るという約束を,借用書に書くことを条件にしたのです。
ねこを通して子どもたちとピーターサンドさんの心が通い合う結末が安心できます。都合のよい可愛がり方ではなくペットを大切にすることとは何かを教えてくれます。著者自身による挿絵はあたたかみがあり、子ねこもみんな船に乗せ終わり,桟橋で手を振るピーターサンドさんとその横でしっぽを振っている母ねこの姿がなんとも微笑ましく描かれています。
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