茶の世界史

一般書

投稿日:2011年12月13日

角川 栄著
1980年 735円

角山氏はその昔、東洋は豊かであったという。
中国と日本では早くから茶が飲まれ、16世紀日本では茶の湯文化が花開いていた。やがて欧米でも茶が好まれ、飲まれるようになり、中国と日本の特産品であった茶は高級輸出品となった。
英国では茶の需要が飛躍的に伸び、国内の銀が減少し始めると、脅威を感じ、阿片を多量に中国に売りつけ銀を確保しようとした。抵抗する中国との間に阿片戦争(1839~42)が起こる。
そして続く産業革命を背景に、英国はじめヨーロッパ諸国のアジアとくにインド・中国への進出が始まる。
インドは歴史的に錦織物の技術が発達し、芸術性の高い織物が作られていたが、英国は時刻の綿貿易を発展させるため、インドの技術者の手を切ったり、目をくり抜いたりして、追放し、インドを錦織物王国から、綿生産国へと追いやった。
茶もアッサム地方で茶葉が発見されると、植民地化したインドで強力な方法で生産させ、紅茶として販路を求めた。当初は英国でも、アメリカでも緑茶が飲まれていたが、緑茶は、紅茶、コーヒーに主流を奪われる。現在日本は茶の一大輸入国になってしまった。
茶の歴史はもちろん、ヨーロッパ諸国の壮大なアジア侵略の歴史を読み取ることができる一冊だ。
紹介:針布読書会 土井芳江

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