竜の座卓

児童書(こども)

投稿日:2011年6月25日

朝比奈蓉子作 金沢まりこ絵 偕成社
2011年 1200円

以前このブログで『たたみの部屋の写真展』を紹介したことがありますが,今回紹介する本は同著者による第二弾です。
主人公のかけるとバイク好きのてつ兄,そして両親。大森家に脳梗塞で倒れたじいちゃんが同居することになります。じいちゃんのリハビリも兼ねて,座卓を作ることになりますが,病気で思うように手が使えないじいちゃん,不器用なてつ兄。じいちゃんの指導のもとで夏休みを使い,風呂おけいっぱいくらいの汗をかき,みんなで力を合わせて座卓を完成させます。大森家の台所には大きな座卓が置かれ,かけるたち兄弟にとっては大切なものになります。しかし、おじいちゃんが亡くなると,その場所には新しいイスとテーブルが置かれていました。
てつ兄は反抗して,てらてらしたテーブルなんかで,ぜったいに飯は食わんと抗議をします。その後,兄弟の思いが詰まった座卓は見つかりますが・・・。死を間近にひかえた祖父と,兄弟のふれあいがストレートに伝わってくる作品です。座卓には兄弟にむけたじいちゃんの強い思いが刻まれており,読後温かい気持ちにさせてくれます。特に一見やんちゃですが,じいちゃんや弟を思いやるてつ兄の個性が光ります。
『たたみの部屋の写真展』では認知症のおばあさん,『竜の座卓』では脳梗塞のおじいさん,第三弾目ではどんな人物が登場するのでしょうか。今から楽しみです。
児童書 おすすめの1冊 小学校高学年から
紹介:調布市立図書館 児童担当

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