神谷美恵子日記

一般書

投稿日:2009年1月15日

神谷美恵子 作
角川文庫 2002年 476円

一九三九年 二五歳より一九七九年 六五歳までの四〇年間の日記です。
津田塾在学中にキリスト教の伝道者である叔父・金沢常雄に誘われ、ハンセン病多摩全生園を訪れ、病に苦しむ人々を知り、自分の存在がゆすぶられる程の衝撃を受け、父に反対され乍らも医学に進み、其の後の生き方が大きく変化されたのではと思われました。又宮沢賢治の生活の後をたどり、精力の一滴たりともおろそかに費やさぬよう、そして自分もこの道に進むことが許されたらと願ったようです。
四〇歳を過ぎ長島愛生園で癩患者の精神的調査を始めました。時には教授として悩める時には、あゝ愛生園に行かれたらあそこで又生気を取り戻すであろうと。病める人の中であっても愛生園が心癒される所であったかと思われます。患者を診療することが生きがいであるとも書かれております。
家庭では夫・宣郎の妻として多忙の日々、お互いに良き理解者として支え合い、律、徹二児の母として自然を愛しやさしい愛情を充分にそゝぎ立派にされました。女性として若い時から病魔と戦い乍ら、英、仏、ギリシャ、ラテンの語学力。津田塾、神戸女学院の教授、その間海外との活動を続け多数の本も出版されました。
知的環境に育ち稀な才能に恵まれた人間として、完全燃焼された神谷さん、こんな素晴らしい女性の日記と読書会での出合い、もっと深く知りたい。出版された本も読んでみたい心境になっております。
針布読書会   反町とみ江
読書会おすすめの一冊。
紹介:アカデミー愛とぴあ

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