津軽

一般書

投稿日:2009年5月10日

太宰治 作
岩波書店 2004年  525円

できるだけ読書会では、まだ取り上げたことのない作者を読んでいきたいものです。でも現実には、是非もう一度、という本や作者があって、この作品はそんな一つでした。
旅行記という形で津軽の地勢や風物や歴史が懇切丁寧に描かれながら観光案内的な感じが少しもしないのは、旧知の人々との交歓や懐かしい場所を再訪するなか作者独特の自虐的なほど正直な語り口をとおして、その生い立ちなりその後の人生なりが生々しく浮かび上がってくるから?というのが初めて読んだときの印象でした。
そして内容がかなりの部分フィクションらしいとわかってきた二回めのときには、なるほど、とむしろ納得したのです。
小説として読めば、乳母であり育ての親でもあった「たけ」と再会する場面は、いわば物語のクライマックス!
フィクションとわかっていてもやはり感動します。随所にちりばめられたユーモアにくすくす笑いましたし、気がついたら以前よりもっと作者に感情移入していたのです。
何度読んでも、読むたびに何か新しい発見があるような、そんな作品を持つことができた幸せをしみじみ……。
名作読書会 海本みどり
読書会おすすめの一冊。
紹介:アカデミー愛とぴあ

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