大根の葉

一般書

投稿日:2008年5月10日

壺井 栄 作
新日本出版社 1980年

海辺の村で母親と妹と暮らす健は五歳。二歳になる妹は、先天性白内障で眼が見えない。一日でも早く手術をするようにいわれている。遠く離れた神戸の病院へ行くのだ。その日、健はおばあちゃんの家で待っているように母親に言われるが、いっしょに行くといってきかない。ぐずる健に、母親は辛抱強く、ながい時間をかけて説得する。文中、作者は瀬戸内のうつくしい情景描写も忘れない。
母親は両手を健の目に当てて目隠しをする。そして、目が見えないということはどういうことかを実体験させる。こどもの想像力を待つのだ。目が見えなくなったら、どんなに不自由で悲しいことかを話すのだ。
ようやく健は納得し「おかあさん、健泣かんと待っちょるーー」と言う。健は自分でそう決めたのだ。「そこが大事」というAさん。「母親の情感のこもったはなしぶりに感心した。むずかしい理屈はなく、それでいて、きちんと説明している」と、Bさん。本書は親子のあいだのコミュニケーションのとり方などが問題とされている現在、古いようでいて新しい。
月曜読書会   大出きたい
読書会おすすめの一冊。
紹介:アカデミー愛とぴあ

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