塩壺の匙

一般書

投稿日:2010年9月10日

車谷 長吉 著
新潮社 1995 500円

戦前の食塩は湿気を吸ってカチカチになり匙など入れて置くと結晶して、金槌で壺ごとくだいても取れないことがありました。
作者がこの題名をこの小説につけたことはわかるような気もしますが、はっきり言ってこの小説を語る資格は私にはありません。
どうぞ読者の方々はご自分でよくお読みになって、わかりよい解釈をなさってみて下さい。
この作家のもって生れた資質というものは地方の旧家の、代々積み重ねた「業」のようなものかもわかりません。それは研ぎ澄ました氷の刃で頬をなでられるような総毛立つ怖さと、底まで透明で正直な魂が、われわれをつきはなしてしまうのです。
やはり私には作家の心の中でうごめいている、常人に理解できないひとつの悪事としての私小説を解き明かすことは出来ないのです。どうか、どなたか教えてください。
読書会夜行列車   吉田 信
読書会おすすめの一冊。
紹介:アカデミー愛とぴあ

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