ミンのあたらしい名前

児童書(こども)

投稿日:2011年9月25日

ジーン・リトル著 田中奈津子訳 講談社
2011年 1400円

赤ん坊のころ親に捨てられた少女ミンは,大人を信用できず,心を閉ざしていました。そのため,里親とうまくいかず,四度目の里親にも手放されそうになります。そのとき,小児科医のジェスがその場に居合わせてミンを連れ帰り,一緒に暮らし始めます。以前,肺炎で入院した夜,そっと寄り添ってくれたジェスに,ミンは他の大人とは違うものを感じていました。自身も里子であり里親の経験もあるジェスは,感情を表さないミンの心情を察し,全てを受け入れてくれるのでした。
クリスマスが近づき,二人はクリスマスツリーにする木を切りに出かけます。そこで,ミンは瀕死の子犬を助けます。その子犬が「子犬工場」から逃げてきたのではないかと聞き,ジェスの名づけ子トビーとともに,「子犬工場」の実態を探る計画を立てるのですが…。
朝起きると食事の準備が整っていること,家の合鍵を持つこと,クリスマスにプレゼントを選ぶこと,そんなささやかな出来事を,ミンはジェスとの暮らしの中で初めて経験します。そして,戸惑いながらも,自分の心が徐々に開いていくのを感じます。心を閉ざし,人との距離を置くことで自分の心を守ってきたミンが,安らげる場所と友人を得て,過去を受入れ,新たな一歩を踏み出す物語で感動的な作品です
児童書 おすすめの1冊 小学校高学年から
紹介:調布市立図書館 児童担当

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