ポータブル・ゴースト

児童書(こども)

投稿日:2007年10月25日

マーガレット・マーヒー作 幾島幸子訳
岩波書店 2007年6月 1800円

タイトルを直訳すると「持ち運びできる幽霊」。おかしな書名に興味を持って読み始めると,その軽妙な語り口の奇想天外なストーリーに思わず引き込まれてしまいます。
主人公の少女ディッタは,学校の図書室のすみにいる不思議な少年が気になってしかたありません。思い切って声をかけてみると,少年は図書室から離れられない幽霊だとわかります。また一方で,ディッタの友人のマックスの様子がおかしくなり,その理由をたどっていくと,マックスの新築した家に住みついた恐ろしい幽霊の存在が明らかになります。
ディッタは,マックスを幽霊から救い出すため,パソコンおたくの妹や変わり者の老人,さらに図書室の少年幽霊にも助けられて,恐怖に立ち向かっていきます。
ハラハラドキドキのストーリーの中に,幽霊も含めた個性的な登場人物が生き生きとかかわり合い,それぞれが成長していきます。パソコンが有効な小道具として使われ,予想外の結末へと導いていくあたりもいかにも現代的で,読者に親しまれそうです。
作者は1936年生まれのニュージーランドの児童文学作家。絵本から読み物まで多数の作品があり,2006年度国際アンデルセン賞・作家賞を受賞するなど国際的にも高い評価を受けています。
児童書おすすめの一冊。小学校高学年向き。
紹介:調布市立図書館 児童担当

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