ピーティ
投稿日:2010年9月25日1920年,アメリカモンタナ州でピーティは重い障がいをもって誕生しました。医者は「この子は考える力そのものをもっていません」と重度の知的障がい者と診断しますが,両親は必死の思いでピーティを大切に育てます。やがて治療代も払えなくなった両親は,2歳になったピーティを専門の施設に入れる決断をします。
当時の施設は,病気や障がいの程度も種類もさまざまな人たちが一緒にいて,食事と身の回りの世話をするだけの収容施設でした。自分では体を動かすことも言葉も話せないピーティは無能と決め付けられ,全く希望のない環境に長い間放置されます。
しかし,ピーティが12歳になったとき,軽い知的障がいの9歳の少年カルビンが入所し,カルビンとの交流によってピーティは本来持っていた明晰な頭脳や明るい性格が引き出されていきます。また施設の職員の中には,よき理解者も現れ,中でもオーウェンは二人にたくさんの喜びと楽しみをもたらします。
やがて年老いたオーウェンが去ったあと,ピーティとカルビンにも突然の別れが訪れます・・・。
障がい者の一生という深刻なテーマを扱っていますが,どんな厳しい環境におかれても人生を楽しむ主人公ピーティの存在が力強く,周囲の人たちに幸せを与えていくというストーリーは感動的で,一気に読み進むことができます。後半,ピーティが老人になってからの予想外の展開は,熱い涙を誘うことでしょう。
紹介:調布市立図書館 児童担当