ハスの花の精リアン

児童書(こども)

投稿日:2011年11月24日

チェン・ジャンホン作・絵 平岡敦訳 徳間書店
2011年 1800円

むかし,ローおじさんという漁師が,湖の小さな木の舟にひとりで住んでいました。
ある日,見知らぬおばあさんの頼みをきいたローおじさんは,お礼に種をもらいます。それを湖の浅瀬に植えると,たちまち芽が出て,葉が広がり,大きなハスの花が咲きました。
その晩,ハスのつぼみからリアンという小さな女の子が現れます。リアンが持っていたハスで触れると,ローおじさんの舟も服もりっぱになり,おいしいごちそうまで出てくるのです。それからというもの,リアンは毎日日暮れどきになるとハスの花から出てきて,おじさんの生活を助けてくれました。
ところが,欲張りな王さまの娘タンがその噂を聞きつけ,リアンをつかまえるためにローおじさんを牢屋に入れてしまいます。リアンはおじさんを助けるため,ひとりでお城にかけつけますが…
「むかし,あるところに」で始まり,ハスの花から現れた小さな女の子が活躍する不思議な物語は,昔話を思わせます。ひとりぼっちだったローおじさんと小さなリアンとの絆がほほえましく,読後は心があたたかくなる一冊です。
作者のチャン・ジャンホン氏は中国出身でパリに移住して活躍している画家です。ほかに『ウェン王子とトラ』『この世でいちばんすばらしい馬』(どちらも徳間書店)があります。どの作品も中国の伝統的水墨画の手法を用いており,大きな画面いっぱいに描かれた絵には迫力があります。
児童書おすすめの一冊。小学校低学年向き
紹介:調布市立図書館 児童担当

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