グスコーブドリの伝記
投稿日:2007年12月10日この物語は、飢饉で両親を失い、妹とも生き別れになった少年ブドリが、「森にも野原にも、ちょうどあの年のブドリの家族のようになる人がたくさんできる」のを防ぐために、命も犠牲にする二十七歳の時までの成長の過程をえがいたものである。
「みんながあんなつらい思いを市内で、沼ばたけを作れるよう、また火山だのひでりだの寒さだのを除く工夫がしたい」というブドリの思いは、郷土岩手の天災に苦しめられる貧しい農民たちに、肥料設計や稲の品種改良の指導をした賢治の、農民たちの幸福を願う思いでもある。
てぐす飼いの男や沼ばたけの主人から厳しく仕事を教わり、クーボー博士には火山局を紹介され、火山局では老技師から機械の扱いや観測のしかたを習い、そしてその技術が市や村人達を救う。ブドリが活き活きと、素直に、逞しく成長していく姿とともに、出会った大人たちがブドリの人間的成長に大きな役割を果たしていることが印象に残る作品。
草の実読書会 柳なつみ
読書会おすすめの一冊。
紹介:アカデミー愛とぴあ