アイ・アム・デビッド

中学生・高校生向

投稿日:2008年1月10日

アネ・ホルム 作、 雨海弘美 訳
角川書店 2005年

12歳の少年デビッドは天涯孤独。両親も国籍も知らず強制労働収容所の囚人として、暮らしていました。ある夜、看守がコンパスを渡し、「北へ行け。デンマークにつくまでひたすら北を目指して歩け」となかば強制的に逃亡させる。
なぜデンマークなのか分からぬまま、追手の影に怯えながら、自由を求めて旅するうちに、少しずつ自己を尊重し、同時に他人を受け入れる術を学ぶ。働いてお金を稼ぐことも覚え、逆境にありながら、暴力や悪を憎む潔癖な少年となりました。又、旅の途中で少女を助け、淡い恋も知り、ほほ笑みの意味も知ります。
アイ・アム・デビッドは小さな主人公の真摯で不器用な冒険小説です。
看守がなぜデビッドを逃亡させたか、なぜ目的地がデンマークなのか、謎解きの要素もスリリング。テーマは政治、宗教、愛そして美など盛りだくさんで、大人も子どもも考えさせられつつ、楽しんで読めるすばらしい作品です。
柏読書会           桐谷 綾子
読書会おすすめの一冊。
紹介:アカデミー愛とぴあ

「アイ・アム・デビッド」を図書館で探す