ほとばしる夏
投稿日:2008年11月10日早瀬にむかってカヌーをこぎだす姉と弟,川岸には瀕死の重症を負った「森林官」が倒れている。助けを求めて急流を下る二人は無事に役割を果たせるのだろうか・・・。
冒頭の出だしからストーリーに引き込まれるが,やがて姉弟の状況が丁寧に語られていく。
夢を追いもとめる父が家出した後,残された家族-母と13歳の姉と12歳の弟-の三人は小さな田舎の町を離れ,新しい町で新しい暮らしを始める。そして,ひと夏を渓谷の丸田小屋で過ごすことになるのだが,「森林管理官」と名乗る不思議な老人との出会いが姉弟を大きく成長させていく。
豊かな自然を抱える川とのふれあい,壊れそうな家族のきずな,思春期のみずみずしい感性,一徹な老人の自然を守る強い意思,さまざまな人の思いがほとばしるように溢れ出し交錯し,結末では静かな感動をよびおこす。
中学生以上にすすめたい作品。
紹介:調布市立図書館 児童担当