ともだちのはじまり

児童書(こども)

投稿日:2013年3月12日

『ともだちのはじまり』
最上一平作 みやこしあきこ絵 ポプラ社 2012年
900円

さとと、じゅじゅは小学1年生です。席は隣同士ですが、お互いに性格が違うと思っていたからか、あまり話をすることはありませんでした。「たかオニするもの、このゆびとーまれ!」と大きな声で言うじゅじゅを見て、さとはその指に誰もとまりにきてくれなかったらどうしようと気にかけていました。
ある日さとは、じゅじゅに消しゴムを貸してあげたことがきっかけで、秘密を打ち明けられます。実はじゅじゅは「宇宙人」で「ハッピー星からきたハッピー星人」だと言うのです。さとはとても驚きますが、そう言われてみれば、本当に宇宙人かもしれないと思います。じゅじゅという名前も、鉄棒で前回りを連続50回もしてしまうところも「宇宙人っぽい」と、さとは思うのです。
秘密のはなしをして以来、2人の距離は少しずつ近づいていきます。普段の元気なじゅじゅとは違う様子も垣間見えるようになります。さとの純粋さがじゅじゅを支え、じゅじゅの不思議さも、さとを楽しませていることが伝わってきます。それぞれの想いが短い言葉で語られています。
作者最上一平氏は近年、今回紹介した本や『千年もみじ』(新日本出版社)、『ちょんまげくらのすけ』(国土社)などで幼い子どもを主人公にした作品を発表しています。それらの作品では、最上氏の中に生きる子どもが生き生きと描かれています。その子どもたちが、読者に支持されるとともに、大人の読者の子ども時代の記憶を鮮明に呼び覚まし、胸を打ちます。
児童書 おすすめの1冊 低学年向き

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