『青矢号―おもちゃの夜行列車』

児童書(こども)

投稿日:2011年1月26日

ロダーリ作 関口英子訳 岩波書店
2010年 680円

イタリアでは,1月6日の前夜に魔女のベファーナが子どもたちにプレゼントを配るのですが,ベファーナはおもちゃの代金を払った家にしかプレゼントを配りません。
ある日,フランチェスコという名前の少年がベファーナのおもちゃの店を訪れて,プレゼントに電気機関車が欲しいといいますが,フランチェスコの家は貧しくてお金を払うことができず,泣く泣くあきらめます。フランチェスコが店のショーウインドーに飾ってある電気機関車の青矢号を毎日ながめにくるうちに,おもちゃたちはだんだんフランチェスコを好きになっていきます。そして1月6日の前日,おもちゃたちは自らフランチェスコの家に行こうと決め,ベファーナの店を抜け出しますが…。
1月6日はカトリック教の公現祭(エピファニー)というお祭りで,魔女ベファーナがホウキに乗って子どもたちにプレゼントを持ってきてくれるというイタリアの伝統が物語の下地になっています。青矢号に乗ったおもちゃたちは外の世界に出て行きますが,危険なこともいっぱいの大冒険です。おまけにフランチェスコにもとんだ災難が待ち受けていて,ハラハラドキドキしながら読み進められます。青矢号の駅長,将軍,銀バネ大将,コインという犬などたくさん出てくるおもちゃたちも個性的でかわいらしく,心温まる作品です。
児童書おすすめの1冊。小学校高学年から
紹介:調布市立図書館 児童担当

『青矢号―おもちゃの夜行列車』を図書館で探す