『図書館ラクダがやってくる ―子どもたちに本をとどける世界の活動―』

児童書(こども)

投稿日:2010年11月25日

マーグリート・ルアーズ著 斉藤規訳
さ・え・ら書房 2010年 1400円

図書館と言えば,建物を指すように思われがちですが,この本では,あちこちへ移動して,子どもたちに本を届ける活動をしている様々な国の様子を紹介しています。
日本でよく知られている,バスを使った移動図書館だけではありません。題名にあるようにラクダが本を運ぶ国ケニアや,ゾウが丸太や穀物を運ぶように本を届ける国タイ。ペルーではロバの引く荷車に子どもたちが鈴なりになって,届けられた本を読んでいる姿を見ることができます。
著者は,はじめ新聞で「ケニアの人里はなれた砂漠の村に住む子どもたちへ本を運ぶラクダがいる」という記事を読みました。そして,世界のほかの地域では,どんな方法で子どもたちに本を届けているのかと考え,世界中の図書館員に手紙を出し,図書館の話を聞かせてほしいと頼んだそうです。そして世界各地から,届けられた写真の数々は,様々な移動図書館と本を受け取って嬉しそうな顔の子どもたちでいっぱいだったのです。
日本の子どもたちにとって馴染みのない国アゼルバイジャンから,図書館の先進国イングランドまで,どこの国にも,本に情熱を傾け,人生において図書館がいかに重要かを理解している人々がいます。図書館があることを当たり前に思っている読者の子どもたちに,たくさんの本を自由に読めることの幸せを教えてくれる1冊です。
児童書 おすすめの1冊 高学年から
紹介:調布市立図書館 児童担当

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