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このページは、2010年10月12日 12:46に投稿された記事 おはんです。

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おはん


 宇野 千代 著
新潮社 1965 340円


 ほんに人形浄瑠璃見せてもろとるようどすなあ。ということになります。

 読者のひき込まれてゆく舞台は、どこともわからない想像の土地で、にぎやかな町なみもあり、川面の柳のゆれているのんびりした風景もある明治の頃の上方の物語りです。
 ひとりのしよむないおとこはんと、そのもと女房おはんと、もと芸妓のおかよと、三人の織りなすまことに歯がゆい心情描写は、この作家ならではの筆力でせまって来ます。
 まったりしたこまやかな人物の書き分けはすばらしく、これはそのままその時代の人々の纏綿とした優しい心根の表現でしょうか。
 別れたあとおはんに出来た子が、てて親と知らず男を慕います。その少年がいい子で。
 話の筋は止めます。最後のおはんの手紙です。

 『ただこのきわになりましても、申しわけないはあのおひとへのことでござります、わたくしのゆきましたあとはどうぞわたくしのぶんまであわせていとしがつておあげなされて下さりませ、もうしあげたきことは海山ござりますが こころせくままにふでをおきます うすぎしてかぜなどおひきくだされますな』


読書会夜行列車  吉田 信

読書会おすすめの一冊。

紹介:アカデミー愛とぴあ

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