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このページは、2007年04月24日 17:17に投稿された記事 桜の森の満開の下です。

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桜の森の満開の下


坂口安吾作

古来から桜の花の下は人々に怖れられていたと、鈴鹿の山の桜の森の怖ろしさを記し、主人公の山賊がその謎を解こうとするものの十数年が経ってしまう。 

 ある日、山賊は絶世の美女を攫ってくる。男は女の命ずるまま、6人の女房たちを殺し、女の希望で京の都に移り住む。女は男の殺してきた人間の生首遊びに熱中するが、男は都の暮らしがたまらなく退屈になり、山に帰ることを決意する。女を背負って桜の森の満開の下にくると、女は口が耳まで割けた鬼になる。男が絞め殺すと元の女だった。

 男が我に返ったとき、その背中には白い花びらが散りつもっていた。
 そこは桜の森のちょうど真ん中あたり、ただひっそりと、そしてひそひそと、花びらは散りつづけている。絶対の「孤独」の中で男は初めて四方をみつめる。無限の虚空、それだけのこと。やがて女の姿は掻き消え、男も消えてゆく。

 「あとに花びらと、冷たい虚空がはりつめているばかりでした。」

 この物語は絵本にもなっている。当初、これは小説ではないと「新潮」の編集長に掲載を拒否されたという。満開の桜の下で酒盛り、カラオケに興じている現代人に、静謐な桜の美しさ、怖ろしさをこの物語から味わってほしい。来春は桜の森の満開の下で、この物語をたった一人で読んでみてください。

染地読書会 萩谷美子

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