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このページは、2007年03月23日 14:49に投稿された記事 夢十夜です。

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夢十夜


夏目漱石作

「名作」の人達と識り合ってから二十年近くなるか。みんな年をとった。五、六人はあの世に行ってしまった。残った人たちで楽しく本を読んでいる。

司会役の僕は、今日は十三人か、と出席者の数を算える。終って部屋を出るとき、後姿がひとりくらい増えてることがある。Nさんか。いつ入って来たのかな。久し振りである。そういえば、今日の本はNさん好みだなと思い付く。そして、Nさんが二年前にガンで死んだことも思い出す。どこに座っていたのか。TさんとKさんの間か。

忘年会のときに、花いちもんめ、あなたが欲しいッてNさんが迎えに来てたよ、ってTさんとKさんに教えてやるか。

こんなふうな想像を漱石の「夢十夜」は楽しませてくれる。

街並を風がゆるやかに吹き抜けるように、ごく平凡な生活を送る私達の心の中にも、悲しく怖いミステリーが存在するんだよ。おまえさんが気付けばね、と漱石は教えてくれる。

名作読書会 林 一夫

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